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EPDMの耐塩素効果について

EPDMの耐塩素効果について №3

キーワード:原料ゴム(ポリマー)、耐薬品性、次亜塩素酸ナトリウム、配合設計、
      
老化防止剤、充填剤、シリカ


技術部の高橋です。

前回まではEPDMが水道用シール材として使われる理由と次亜塩素酸ナトリウムによる
劣化メカニズム、弊社EPDM材料の耐塩素水試験方法及びその結果を報告しました。
今回は塩素対策のまとめを報告します。又、参考程度に耐塩素効果に関連した試験について
簡単に報告します。


5.耐塩素水性を有する配合設計

①原料ゴム(ポリマー)の検討
耐水性、耐薬品性に優れるポリマーが好ましい。
候補として表1よりEPDM、FKM、VMQが挙げられるが、原料コスト、配合設計の自由度
老化防止剤充填剤の添加など)からEPDMがベストであると判断できる。

 

si-ru gomuzairyou.JPG②硬さの検討
 表2、3の結果より硬さが高いほど塩素の浸透を防ぐことに効果的であることがわかり
 ます。硬さは使用時の性能を損なわない範囲で高めに設定することが有効であると判断
 できる。

③充填剤の検討
 一般的に水道水による劣化は吸水に伴う塩素の浸透が原因であることから、吸水性の低い
 充填剤がよいとされています。その充填剤として挙げられるのがサーマルブラック(MTカーボン、
 FTカーボン)です。

サーマルブラックは補強性には劣りますが、活性点(炭素が塩素と結びつきやすい点)
がほとんどないので、塩素の誘引性が低いのです。
また、表2、3の結果よりシリカも効果的であることがわかります。
以上より充填剤はサーマルブラックもしくはシリカが有効であると判断できる。


【サーマルブラック】
  天然ガスまたはコークス炉ガスを熱分解して製造されるカーボンブラックのこと。
  FEFカーボンやSRFカーボンと同じソフトカーボンに分類される。


 

6.塩素対策のまとめ

以上、弊社EPDM材料での試験結果を踏まえた耐塩素水性を有する配合設計について
述べてきましたが、まとめると次のようになります。

① 原料ゴム:耐水性、耐薬品性を有するEPDM
② 硬さ:高硬度であるほど質量変化率、体積変化率の増加を抑制し塩素の浸透を防ぐ
③ 充填剤:補強性には劣るものの吸水性の低いFTカーボンもしくはシリカ


以上で「EPDMの耐塩素効果について」の報告は終わりです。


 

EPDMの耐塩素効果について №2

キーワード:次亜塩素酸ナトリウム,カーボン離脱,墨汁現象,シリカ,食品衛生試験,浸出試験

技術部の高橋です。


前回はEPDMが水道用シール材として使われる理由と次亜塩素酸ナトリウムによる
劣化メカニズム、弊社EPDM材料の耐塩素水試験方法を報告しました。
今回はその試験結果を報告します。


4.試験結果

表2はカーボンブラック配合品の浸漬試験結果(次亜塩素酸ナトリウ50ppm水溶液,
60℃)です。
500時間までは浸漬液の色に変化はなくカーボン離脱の現象も見られませんでしたが、
500時間を越えたあたりからいずれの材料も徐々にカーボン離脱が起こり始めました。
800時間後の浸漬液の状態は悲惨なほど(浸漬液の中がほとんど見えない状態)真っ黒
の状態でした。

原因は硬さ60の材料が激しくカーボン離脱を起こしていたことでした。表2の結果から
も硬さ60の材料は他の材料と比べて変化率がかなり大きく(特に質量,体積変化率は硬さ
70の材料とくらべても4倍以上でその差は歴然)、いかに激しくカーボン離脱を起こして
いたかわかると思います。

 

ka-bonnburakku.JPG

 

 

 

 

 

 

 

 

 

表3はシリカ配合品の試験結果です。

シリカ配合品の場合は、もともとの色が黒でないので墨汁現象は起こりませんが、まったく
材料が劣化していないというわけではありません。多少なりともカーボン離脱ならぬシリカ
離脱
が起こっているわけで、それが目に見えるか見えないかの違いです。しかしながら、
墨汁現象対策には有効な1つの手段です。


sirika.JPG

 

 

 

 

 

 

 

 

弊社のシリカ配合品は食品衛生試験、浸出試験にも適合していますので、水道用シール材
として使用しても問題ありません。(もちろん、カーボンブラック配合品でも水道用シール
材として使用するものは食品衛生試験、浸出試験に適合しています)
表2と表3を比較した結果、同じ硬さの材料ではカーボンブラック配合品よりもシリカ
配合品のほうが耐塩素水性が良いという結果がでました。

 

* この試験結果は弊社の材料で比較していますので、必ずしもカーボンブラック配合品
 よりもシリカ配合品のほうが耐塩素水性が良いというわけではありません。

 

【シリカ】
  無水ケイ酸のことで、白色微粉末状の補強性充填剤です。
  白色ですので水に溶け出してもカーボンブラックのように黒くなることはないので、
  見た目では墨汁現象が起こっていないように見えるのです。

 

【食品衛生試験】
  昭和61年厚生省告示第85号による。
 (改正:平成18年厚生労働省告示第201号)
  但し、使用温度が100℃を超えない資料とする。

 

【浸出試験】
  水道用ゴム JIS K6353:1997
        JIS K6353:2006(追補1)
        JIS K6353:2009(追補2)
  浸出方法:水道用ゴムの浸出試験方法 JIS K6353


 

次回は塩素対策のまとめです。
ではまた。

EPDMの耐塩素効果について №1

キーワード:耐候性,耐オゾン性,耐薬品性,二重結合,過酸化物架橋
      次亜塩素酸ナトリウム,残留塩素,カーボン離脱,墨汁現象


技術部の高橋です。


1.はじめに

弊社ではEPDM,NBR,FKM,VMQなどのシール材に用いられる代表的なゴムを
取り扱っています。それぞれのゴム材料の一般的な性能を表1に示す。 

zaoryou2.JPG 
これらのゴムのうちEPDMは主鎖に二重結合がないことに起因して、耐オゾン性耐候性
酸,アルカリなどに対する耐薬品性が優れるという特徴があります。
特に過酸化物で架橋させたものは耐久性や耐熱性が良好であるため、水や熱水が流れる水回り
のシール材として使われることが多いのです。

一方、近年では上水道において、殺菌用として用いられる次亜塩素酸ナトリウムの濃度が高まる
傾向にあり、それに伴いシール材からのカーボン離脱墨汁現象など、水道水中への異物混入の
原因となるシール材の劣化現象に悩まされています。
そこで、今回は弊社のEPDMが水回りのシール材として使われたとき、塩素によって受ける
影響を試験した結果を報告します。

 

 

2.低濃度残留塩素による劣化メカニズム

低濃度残留塩素とは、水道水を次亜塩素酸ナトリウムで殺菌したときに残留する塩素で、
普通の水道水であればだいたい1ppmぐらいであることが知られています。
この低濃度残留塩素によってEPDMシール材は下記のような流れで劣化します。

① 水道水中の次亜塩素酸ナトリウムがEPDMに配合されたカーボンブラックに少しずつ吸着
② ポリマーの主鎖切断による架橋密度の低下
③ シール材の部分的な分解・崩壊
カーボン離脱墨汁現象など微少破片の流出

* ppm=parts per million⇒百万分の1
例えば、1000ppm=1000/1000000=1/1000=0.1%
ですから1ppm=1/1000000=0.0001% となります。

 



3.試験方法
60℃に保持した次亜塩素酸ナトリウム50ppm水溶液に試料を浸漬し、sikennsouti.JPG
800時間経過後の試料表面からのカーボン離脱の有無を確認する。
また、浸漬前と浸漬後の質量,体積及び引張り強さなど
の機械的性質の変化も測定する。
さらに、同じ硬さの材料でカーボンブラック配合品と
シリカ配合品で耐塩素水性に違いがあるのかも確認する。

試験液:次亜塩素酸ナトリウム水溶液(50ppm)
浸漬温度及び時間:60℃×800時間
用意した試料:硬さ60,70,80,90の
       カーボンブラック配合品
       硬さ60,70のシリカ配合品siryou.JPG

*試料はいずれも弊社の代表的なEPDM材料を選定。

次回は試験結果等の報告です。
ではまた。